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2024年08月23日 [会計・税務]

資産除去債務の見積りの変更

「資産除去債務」とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものとされている。多店舗展開している小売業では、定期借家契約で撤退時に原状復帰義務が生じるため、有形固定資産(店舗設備)の取得時に資産除去債務を計上することとなる。資産除去債務の算定には、有形固定資産の除去に要する割引前の将来キャッシュ・フローを見積ることとなるが、多店舗展開している会社では過年度の原状回復費用の実績を基に1u当たりの平均コストを求めて、店舗ごとの面積に応じて資産除去債務を見積計算するなどの方法を行っている。我が国経済は長らくデフレ傾向が続いて、原状回復費用に大きな変動がなかったが、急激な円安傾向から資材コストが上昇するとともに人手不足から人件費が高騰するのを受けて建築コストが大きく上昇し原状回復費用も高騰している。その結果、資産除去債務の計算のもととなる現状復帰費用の1u当たりコストも大幅に上昇傾向にある。
割引前の将来キャッシュ・フロー(原状復帰費用)に重要な見積りの変更が生じた場合の当該見積りの変更による調整額は、資産除去債務の帳簿価額及び関連する有形固定資産の帳簿価額に加減して処理するとされている。資産除去債務に重要な見積もりの変更があれば、見積の変更として会計上の見積りの変更が将来の期間にも影響する場合には、将来にわたり会計処理を行うとされている。
多店舗展開している小売業の上場会社の有価証券報告書を見ると、資産除去債務の見積りの変更を記載している会社が散見される。
事例(資産除去債務の見積りの変更)
当連結会計年度において、不動産賃貸借契約に基づく原状回復費用について、直近の工事実績等の新たな情報の入手に伴い、店舗退店時に必要とされる原状回復費用に関して見積りの変更を行い、当連結会計年度において2,226百万円を変更前の資産除去債務に加算しております。この変更により、営業利益及び経常利益は933百万円、税金等調整前当期純利益は1,176百万円減少しております。


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