ビジネスブログ
2024年08月09日 [会計・税務]
売価還元原価法
小売業においては、仕入先との値引(達成値引や販売奨励金)の処理により商品単位の取得原価算定が困難なことから売価還元原価法を採用する会社は多く存在する。なお、会計上は、収益性の低下による簿価切下げ額、すなわち正味売却価額(=時価―販売直接経費等)が取得原価を下回った場合は、正味売却価額まで原価を引き下げる必要があります。また、法人税法上は、低価法の選択適用が認められており、正味売却価額まで原価を引き下げることが認められている(基本通達5−2−11)。 売価還元原価法は、値入率の類似性によるグルーピングにより、グループ単位で原価率を算定し、期末棚卸資産の売価に当該原価率を乗じて棚卸資産の取得価額を算定することになる。売価還元原価法で収益性の低下による簿価利下げ額を反映するには、個々の商品の売価と原価等を比較することになりますが、煩雑なことと合理性に乏しいことから会計上は連続意見書第四の売価還元低価法を選択することで収益性の低下による簿価切下げ額を反映したものとみなすとされています(棚卸資産の評価に関する会計基準第13項)。
連続意見書第4の売価還元原価法による原価率の算定式
原価率=(期首棚卸資産原価+期中仕入棚卸資産原価)÷(期首棚卸資産売価+※期中仕入棚卸資産売価)
※期中仕入棚卸資産売価=(期中仕入棚卸資産原価+原始値入額)+(値上額‐値上取消額)+(−値下額+値下取消額)
連続意見書第四の売価還元低価法は、上記の期中仕入棚卸資産売価の計算式から(−値下額+値下取消額)を控除したもので値下げ額が加算されることで原価率が低くなって、収益性の低下を反映したものとみなしている。
一方、法人税法上の売価還元原価法は、簡便な計算式を採用し、連続意見書第4の売価還元原価法とは異なっている。
法人税法上の売価還元原価法による原価率の算定式
原価率=(期首棚卸資産原価+期中仕入棚卸資産原価)÷(売上高+期末棚卸資産売価)
法人税法上は、低価法が選択適用可能となっていますが、連続意見書第四の売価還元低価法については規定していません。ただし、法人税法基本通達5−2−6(売価還元法により評価額を計算する場合の期中に販売した棚卸資産の対価の総額の計算)で、当事業年度において使用人、株主、特定の顧客等の者に対する販売について値引を行っている場合において、その者に対する販売状況が個別に管理されており、その値引の額が明らかにされているときは、その値引の額を販売額に加算することができるとなっている。会計上の売価還元法(連続意見書第四の売価還元原価法又は売価還元低価法)による原価法の計算に基づく評価方法を採用すると、税法上の評価方法と計算結果が異なってしまうため、税務調整が必要となる。税務調整を避けたいのであれば、法定外の特別な評価方法の届出を行い、あらかじめ税務署長の承認を受けておく必要がある。
連続意見書第4の売価還元原価法による原価率の算定式
原価率=(期首棚卸資産原価+期中仕入棚卸資産原価)÷(期首棚卸資産売価+※期中仕入棚卸資産売価)
※期中仕入棚卸資産売価=(期中仕入棚卸資産原価+原始値入額)+(値上額‐値上取消額)+(−値下額+値下取消額)
連続意見書第四の売価還元低価法は、上記の期中仕入棚卸資産売価の計算式から(−値下額+値下取消額)を控除したもので値下げ額が加算されることで原価率が低くなって、収益性の低下を反映したものとみなしている。
一方、法人税法上の売価還元原価法は、簡便な計算式を採用し、連続意見書第4の売価還元原価法とは異なっている。
法人税法上の売価還元原価法による原価率の算定式
原価率=(期首棚卸資産原価+期中仕入棚卸資産原価)÷(売上高+期末棚卸資産売価)
法人税法上は、低価法が選択適用可能となっていますが、連続意見書第四の売価還元低価法については規定していません。ただし、法人税法基本通達5−2−6(売価還元法により評価額を計算する場合の期中に販売した棚卸資産の対価の総額の計算)で、当事業年度において使用人、株主、特定の顧客等の者に対する販売について値引を行っている場合において、その者に対する販売状況が個別に管理されており、その値引の額が明らかにされているときは、その値引の額を販売額に加算することができるとなっている。会計上の売価還元法(連続意見書第四の売価還元原価法又は売価還元低価法)による原価法の計算に基づく評価方法を採用すると、税法上の評価方法と計算結果が異なってしまうため、税務調整が必要となる。税務調整を避けたいのであれば、法定外の特別な評価方法の届出を行い、あらかじめ税務署長の承認を受けておく必要がある。