ビジネスブログ
2023年08月23日 [会計・税務]
税制適格ストック・オプションと行使価格に係る法令解釈通達改正
企業会計基準第 8 号「ストック・オプション等に関する会計基準」では、未公開企業については、ストック・オプションの公正な評価単価に代え、ストック・オプションの単位当たりの本源的価値の⾒積りに基づいて会計処理を⾏うことができるとしている。ここで、未公開企業における単位当たりの本源的価値は、算定時点におけるストック・オプションの原資産である⾃社の株式の評価額と⾏使価格との差額をいう。その結果、未公開企業におけるストック・オプションでは、行使価額をストック・オプションの原資産である⾃社の株式の評価額以上とすることで本源的価値をゼロとして、ストック・オプションの公正な評価額がないため株式報酬費用が発生しない形式が一般的となる。
なお、税務上は、税制適格ストック・オプションの要件の 1 つとして、ストック・オプションの権利⾏使価格が「ストック・オプションの契約締結時の時価以上の⾦額以上である」ことが求められている。先に記載の通り、行使価額をストック・オプションの原資産である⾃社の株式の評価額以上にすれば、税制適格ストック・オプションの要件の一つは充足することになる。
ストック・オプション会計基準第 13 項に定める「算定時点におけるストック・オプションの原資産である⾃社の株式の評価額」については、企業会計基準適⽤指針第 11 号「ストック・オプション等に関する会計基準の適⽤指針」第 60 項及び第 61 項において、会計上、特定の評価⽅法を定めておらず、開⽰を条件に、企業価値を最もよく表し得ると考えられる⽅法を採⽤すればよいとしている。
一方、税務上は、2023 年 5 ⽉ 30 ⽇に国税庁から公表されている「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)等の⼀部改正(案)に対する意⾒公募⼿続の実施について」のとおり、権利価格⾏使要件に係る「契約時の 1 株当たりの価額」については、所得税基本通達 23〜25 共−9 の例(売買実例等)によって算定することを明確化し、そのうえで、取引相場のない株式については財産評価基本通達の例によって算定することを認める改正が予定されている。当該改正により、未公開企業において「ストック・オプションの契約締結時の時価」を「(税務上の)1 株当たり純資産」とすることも可能となる。
ここでいうところの「自社株式の評価額」と、財産評価基本通達の例により算定された価額は、必ずしも一致するものではない。そのため、仮に、「自社株式の評価額」が、財産評価基本通達の例により算定された「契約時の1株当たりの価額」以上の価額で設定された「行使価格」を上回っている場合には、会計上は、その差額について費用計上することになる。
なお、税務上は、税制適格ストック・オプションの要件の 1 つとして、ストック・オプションの権利⾏使価格が「ストック・オプションの契約締結時の時価以上の⾦額以上である」ことが求められている。先に記載の通り、行使価額をストック・オプションの原資産である⾃社の株式の評価額以上にすれば、税制適格ストック・オプションの要件の一つは充足することになる。
ストック・オプション会計基準第 13 項に定める「算定時点におけるストック・オプションの原資産である⾃社の株式の評価額」については、企業会計基準適⽤指針第 11 号「ストック・オプション等に関する会計基準の適⽤指針」第 60 項及び第 61 項において、会計上、特定の評価⽅法を定めておらず、開⽰を条件に、企業価値を最もよく表し得ると考えられる⽅法を採⽤すればよいとしている。
一方、税務上は、2023 年 5 ⽉ 30 ⽇に国税庁から公表されている「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)等の⼀部改正(案)に対する意⾒公募⼿続の実施について」のとおり、権利価格⾏使要件に係る「契約時の 1 株当たりの価額」については、所得税基本通達 23〜25 共−9 の例(売買実例等)によって算定することを明確化し、そのうえで、取引相場のない株式については財産評価基本通達の例によって算定することを認める改正が予定されている。当該改正により、未公開企業において「ストック・オプションの契約締結時の時価」を「(税務上の)1 株当たり純資産」とすることも可能となる。
ここでいうところの「自社株式の評価額」と、財産評価基本通達の例により算定された価額は、必ずしも一致するものではない。そのため、仮に、「自社株式の評価額」が、財産評価基本通達の例により算定された「契約時の1株当たりの価額」以上の価額で設定された「行使価格」を上回っている場合には、会計上は、その差額について費用計上することになる。