収益認識基準の会計方針の変更事例4
2021年12月28日 [会計・税務]
ポイント制度と収益認識基準
1.ポイント制度の概要
ポイント制度は、小売業、通信業、航空業、サービス業などの業種において、販売促進の手段にとして活用され、企業が顧客に売上に応じて付与するポイントと将来の商品またはサービス等と交換する制度である。ポイント制度の内容は多種多様であり、ポイントと交換される(あるいは値引きとして利用される)商品またはサービスは自社の商品及びサービスが基本であるが、他社のポイントと交換または商品券と交換するなど制度の設計は企業によって異なる。
また、ポイント制度には、自社の会員に限定した自社運営ポイント制度のほか、クレジット会社の加盟店として顧客のクレジット決済に応じ付与される他社運営ポイント制度がある。
なお、ポイント制度には、売上と連動せずに会員特典として、販売促進を目的として会員の誕生日にポイントを付与することや、期間限定のキャンペーンとしてポイントを付与することがある。
2. 従来のポイント制度の会計処理
ポイント制度では、商品の購入やサービスの利用の都度ポイントが付与され、次回の購入の時にポイントを値引きとして使用または商品と交換することになるため、企業会計原則注解18の考え方に基づいて販売促進(ポイント)引当金を計上していた。
2021年4月1日開始事業年度から導入された収益認識会計基準では、顧客の商品の購入に応じて付与されるポイントは、カスタマー・ロイヤルティ・プログラムを顧客に提供しているものとして、顧客に対する履行義務として区分されることになる。
3. 自社ポイントの会計処理
自社が運営するポイント制度について、当該ポイントは、次回の購入の値引きとして使用されることから、重要な権利(値引としてのオプション)を顧客に提供することから、履行義務として識別し、収益の計上を繰り延べる方法に変更する必要がある。
(会計方針の変更の事例)
当社が運営するポイント制度について、従来は、将来にポイントとの交換に要すると見込まれる費用を引当金として計上する方法によっておりましたが、当該ポイントが重要な権利を顧客に提供する場合、履行義務として識別し、収益の計上を繰り延べる方法に変更しております。
4. 他社ポイントの会計処理
売上時に付与した他社ポイントについては、自社の店舗にのみ使用されるものではなく、他社の店舗の商品購入時のポイントとして使用可能であること及び会社としては他社のポイント運営会社への支払い義務を履行すれば当該ポイントに対する会社においての履行義務は存在しない。そのため、当該ポイントによる顧客に対する履行義務は生じない。一方、他社ポイントの顧客への付与は、顧客に支払われる対価に該当し、変動対価として売上から控除する必要がある。
(会計方針の変更の事例)
他社が運営するポイント制度及びキャッシュ・バック等の顧客に支払われる対価について、従来は、販売費及び一般管理費として処理する方法によっておりましたが、取引価格から減額する方法に変更しております。
5. 売上に連動しないポイントの会計処理
誕生日やキャンペーンなどの期間を限定して会員に向けてポイントを無償で付与するケースがある。これは、売上に基づくものではなく、販売促進目的に付与されるものであり、従来通りの販売促進(ポイント)引当金として計上する必要がある。
1.ポイント制度の概要
ポイント制度は、小売業、通信業、航空業、サービス業などの業種において、販売促進の手段にとして活用され、企業が顧客に売上に応じて付与するポイントと将来の商品またはサービス等と交換する制度である。ポイント制度の内容は多種多様であり、ポイントと交換される(あるいは値引きとして利用される)商品またはサービスは自社の商品及びサービスが基本であるが、他社のポイントと交換または商品券と交換するなど制度の設計は企業によって異なる。
また、ポイント制度には、自社の会員に限定した自社運営ポイント制度のほか、クレジット会社の加盟店として顧客のクレジット決済に応じ付与される他社運営ポイント制度がある。
なお、ポイント制度には、売上と連動せずに会員特典として、販売促進を目的として会員の誕生日にポイントを付与することや、期間限定のキャンペーンとしてポイントを付与することがある。
2. 従来のポイント制度の会計処理
ポイント制度では、商品の購入やサービスの利用の都度ポイントが付与され、次回の購入の時にポイントを値引きとして使用または商品と交換することになるため、企業会計原則注解18の考え方に基づいて販売促進(ポイント)引当金を計上していた。
2021年4月1日開始事業年度から導入された収益認識会計基準では、顧客の商品の購入に応じて付与されるポイントは、カスタマー・ロイヤルティ・プログラムを顧客に提供しているものとして、顧客に対する履行義務として区分されることになる。
3. 自社ポイントの会計処理
自社が運営するポイント制度について、当該ポイントは、次回の購入の値引きとして使用されることから、重要な権利(値引としてのオプション)を顧客に提供することから、履行義務として識別し、収益の計上を繰り延べる方法に変更する必要がある。
(会計方針の変更の事例)
当社が運営するポイント制度について、従来は、将来にポイントとの交換に要すると見込まれる費用を引当金として計上する方法によっておりましたが、当該ポイントが重要な権利を顧客に提供する場合、履行義務として識別し、収益の計上を繰り延べる方法に変更しております。
4. 他社ポイントの会計処理
売上時に付与した他社ポイントについては、自社の店舗にのみ使用されるものではなく、他社の店舗の商品購入時のポイントとして使用可能であること及び会社としては他社のポイント運営会社への支払い義務を履行すれば当該ポイントに対する会社においての履行義務は存在しない。そのため、当該ポイントによる顧客に対する履行義務は生じない。一方、他社ポイントの顧客への付与は、顧客に支払われる対価に該当し、変動対価として売上から控除する必要がある。
(会計方針の変更の事例)
他社が運営するポイント制度及びキャッシュ・バック等の顧客に支払われる対価について、従来は、販売費及び一般管理費として処理する方法によっておりましたが、取引価格から減額する方法に変更しております。
5. 売上に連動しないポイントの会計処理
誕生日やキャンペーンなどの期間を限定して会員に向けてポイントを無償で付与するケースがある。これは、売上に基づくものではなく、販売促進目的に付与されるものであり、従来通りの販売促進(ポイント)引当金として計上する必要がある。